川崎の都市型農業の取り組み

川崎の都市型農業の特長

生産者と消費者が近いメリットを活かした農業

人口150万人を超える大都市川崎。住宅や工業地帯のイメージが強い川崎ですが、市内では野菜や果物、花などさまざまな農産物が各地区で栽培されており、農地の面積を合わせると東京ドーム約66個分にものぼります。生産者が丹精して育てた農産物は、農家の庭先や畑にある個人直売所や共同直売所、JAセレサ川崎直営のファーマーズマーケット「セレサモス」などで販売。住宅に囲まれた農地のため消費者との距離が近く、収穫したばかりの農産物を届けることができます。生産者と消費者が直接顔を合わせる機会も多く、さまざまなニーズに合わせるため「少量多品目栽培」により数多くの種類の農産物を栽培し、消費者の期待に応える生産者も多くいます。また、普段土に触れることの少ない子どもたちに市内農業への関心を深めてもらおうと、生産者やJA、小学校などが連携し、田植えから収穫まで一連の農作業などを体験する「食農教育事業」を展開。他にも貸し農園や体験型農園の運営により、子どもから大人まで幅広い世代が楽しみながら農作業を体験し、農を通じて園主や他の利用者との交流を深める場を提供しています。

農業の多面的機能

農業は、私たちが生きていくうえで必要不可欠な食料を生産するだけでなく、下記の通りさまざなま機能を有しています。

  • 国土の保全機能
    水田や畑は、雨水を一時的に貯えることができ、洪水の防止や軽減、土砂崩れなどの発生を抑えます。
  • 自然環境の保全機能
    生ゴミなどの有機性廃棄物は、堆肥化されて田畑に還元され、資源として有効に利用できる他、田畑やため池が多様な生物の住処になるなど自然環境の保全に大きく貢献しています。
  • 良好な景観の形成機能
    農業が行われることであぜ道や田んぼなど四季の移り変わりによる景観が形成・維持・保全され、地域住民や訪問者の心を和ませます。
  • 文化の伝承機能
    長い歴史を通じて農業が続けられてきたことで、自然の恵みへの感謝や災害を避ける願いを込めて行われる芸能、祭り、農業技術などの文化が守り伝えられています。
  • 地域社会の維持活性化
    農産物が作られることで市場への運搬や加工、販売など多くの役割が発生し、仕事が増えることで活き活きとした地域社会が育まれます。

都市部である川崎は、住宅や商業ビルに囲まれながらも市内には畑や果樹園などが点在し、盛んに農業が行われています。食料として口にすることはもちろん、皆さまの暮らしを豊かにするさまざまな機能をもつ地域の農業を見つめ直してみましょう。